映画感想『悪人』

1.映画情報

ジャンル:サスペンス ドラマ ロマンス
鑑賞履歴:2021/6/4(U-NEXT)
公式サイト:https://www.toho.co.jp/movie/lineup/akunin/
wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E4%BA%BA_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)#%E6%98%A0%E7%94%BB
監督:李 相日
制作年:2010年
制作国:日本
制作会社:東宝
メインキャスト:妻夫木聡 深津絵里 岡田将生 満島ひかり 樹木希林 柄本 明
スタッフ:脚本(吉田修一、李 相日) 音楽(久石 譲)
原作:『悪人』 吉田修一 2007年 日本
受賞歴:第34回モントリオール世界映画祭(最優秀女優賞:深津絵里)
    第34回日本アカデミー賞(最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞、
    最優秀助演男優賞(柄本明)、最優秀助演女優賞(樹木希林)、
    最優秀音楽賞(久石譲))
予告動画:

映画 『悪人』 予告編 プロモ映像

2.あらすじ

 公式サイトをご参照下さい。

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3.感想

※※※ 以下、ネタバレありです。 ※※※

十分に面白かったです。
とはいえ、原作を読んでいる人間からすると、祐一が悪人なのか?という所がどう描かれるか?が一番のポイントだったかと思います。
その選択を一気に迫られるラスト。
残念ながら原作ほどの衝撃は感じなかったです。

エピソードとして、祐一が光代と出会う前に通い詰めた風俗嬢との再会シーンを省略してしまったことが気になりました。
彼女の証言から出る、無口な祐一が悪人を演じることで相手を庇う姿や、朴訥とした性格など、原作ではそこから祐一の人間性や、自分に負い目を持つ相手に対して敢えて自分が悪人の汚名を被って相手を守ろうとする優しさを描いていたように思います。
そういった意味では本と映画での尺の違いをクリアできなかったのかな?と思いつつも、もしかしたらラストまでその迷いを受け手に与えない為に敢えて映画から外したのか??とも思い、この部分は意見の分かれる所ではないかと思います。

原作を読んだ上とは言え、個人的にはラストで祐一が光代の首を絞めるのは、駆けつけた警察に対して、光代は自分を匿った人間ではなく、自分が誘拐した人間であることを見せつける為だと思っています。
それは、警察に対してだけではなく、光代自身にもそう信じさせて、自分が居なくなった後に完全に自分を恨むように仕向ける一つの優しさだと思いました。
だからこそ、ラストでの豹変ぶりで一気にその思いをぶつけて欲しかったのだけれど。
意を決した祐一の流暢な喋り口と狂気の表情はなかなかのいい演技だったとは思いながらも、やっぱり原作程の衝撃は感じなかったです。

モントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里の演技は素晴らしい物でした。
自分にも他人にも真面目過ぎて、人との踏み込んだ接し方が出来ずにどこか自信が無い雰囲気。
そういった女性が自分を受け入れてくれる男性を見付け、また秘密を共有することで、何処までも尽くしてしまう姿をしっかりと演じていました。
光代のように常識に満ちた真っ当な女性というのは身近に思い当たる人がいますが、彼女ののめり込む姿が浮かんでしまい、のめり込むほどに危うさを感じてヒヤヒヤとしながら観ていました。

他にも演技力に一定の評価のある役者を並べたこともあって、見応えのある演技にも圧倒される映画でした。
祐一の祖母の樹木希林、その祖母をだます松尾スズキ等。
個人的にはバスの運転手を演じたモロ師岡は小さな役どころながら、強烈に印象の残る演技だったと思います。

4.評価

個人的な好き度合い:★★☆
かなり面白かった映画でした。

世間の評価は以下のような感じです。

映画.com:3.5(172人) https://eiga.com/movie/55078/
Filmarks:3.6 https://filmarks.com/movies/28794
amazon prime video:3.7(313人) https://www.amazon.co.jp/%E6%82%AA%E4%BA%BA-%E5%A6%BB%E5%A4%AB%E6%9C%A8%E8%81%A1/dp/B00FIWINHW

面白いという方の意見:
・善と悪の概念がおかしい人間観を描いていて引き付けられる。
・「悪人」という言葉の意味を考えさせられる映画だった。
・とにかく役者の演技力が素晴らしい!
・祐一(妻夫木聡)の寂しさから人を求める姿が切なかった。もう少し早く光代(深津絵里)と出会っていれば。。。
・細やかな心情の変化を支える映像や音楽も美しい。
・逃避行ゆえ暫く洗髪していない風の深津絵里の色気。
・出会い系サイトの怖さが良く判った。

面白くないという方の意見:
・感情の変化が極端で、共感できる部分が少なかった。
・祐一(妻夫木聡)が人殺しというだけの話。テーマに同意できない。
・深津絵里の盲目的な恋愛観が理解できない。
・佳乃(満島ひかり)のクズさに気分が悪くなった。

世間の評価を見ての印象:
本当の悪人は誰?というストレートなテーマに対して、好意的な方は楽しめたように思いますし、批判的な方は感情面の変化の速さが受け入れられなかったように思います。
特に光代(深津絵里)の祐一(妻夫木聡)に対しての惹かれ方は少し性急すぎるという意見が多かったです。
僕自身は感想にあるように、身近な人がイメージに合ってしまったので上手く理解できましたが、ここを乗れなければいまいちな印象を持ったかもしれません。
祐一(妻夫木聡)は悪人なのか?という点も含めて、もう少し尺が欲しかったな。と改めて思いました。

役者陣に対しては、ほとんどの方が誰に対しても称賛しているようでした。
主人公の二人は勿論のこと、脇となる祐一の祖母(樹木希林)、佳乃の父(柄本 明)は圧巻との声が多いですし、クズな役回りの増尾(岡田将生)、佳乃(満島ひかり)に至っては、クズ過ぎて嫌という声もありました。

amazon prime videoで観る。

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芥川賞作家・吉田修一の最高傑作を、李相日監督が渾身の映画化。主演の深津絵里がモントリオール世界映画祭最優秀女優賞を受賞、作品も2010年度キネマ旬報ベストテン第1位に選ばれた傑作。ひとつの殺人事件。殺した男と愛した女。引き裂かれた家族。さまざまな視点から事件の真相が明らかになるにつれ、観る者に「いったい誰が本当の“悪人...

5.お勧めしたい人

こんな方にはお勧めの映画かも知れません。

・ダメ男に惹かれる女性の方。
・盲目的に恋愛に突っ走ってしまう女性を見て愛着を感じてしまう方。
・若い世代のモラルの崩壊に喝を入れたい方。
・男女の逃避行物が好きな方。
・胸糞キャラを観るのが好きな方。

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