映画感想『ヒミズ』

1.映画情報

作品名:ヒミズ
ジャンル:ドラマ 犯罪 青春
鑑賞履歴:2021/7/14(U-Next)
公式サイト:GAGA DVD公式
     :公式twitter
wikipedia:wiki
監督:園子温
制作年:2011年
制作国:日本
上映時間:130分
配給:GAGA
メインキャスト:染谷将太 二階堂ふみ 渡辺哲 吹越満 神楽坂恵 光石研 渡辺真起子 でんでん 窪塚洋介
スタッフ:脚本(園子温)
原作:『ヒミズ』(漫画) 古谷実
受賞歴:第68回 ベネチア国際映画祭 マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞) 染谷将太/二階堂ふみ
予告動画:

映画『ヒミズ』予告編

2.あらすじ

悲惨な家族と暴力の中で「普通」に生きようとする少年の挫折と希望の物語。

生きる目的を失う中で街を徘徊し、現実に暮らす大人達の姿を直視して絶望と混乱を感じていく主人公の姿を描く。

3.感想

※※※ 以下、ネタバレありです! ※※※

※感想は最初に長い物(4,500字程度)を書いて、それを圧縮したのがこちらになります。
 長い物も『6.感想(長い)』に上げていますので、こちらを読んで興味を持って頂けたら、目を通して頂けると嬉しいです。

園子温作品が初めてな上、原作漫画を読んでいない映画だったので、結構迷いながら観た。
悲惨、残酷、理不尽、狂気、暴力、そして震災、マイナスの感情は蠢く映画だと思う。

子供の頃から家庭内別居の環境で育った自分は、中学時代の親への反発は強かったし、その後も親とは異なる真っ当な人間になることを思い描いていた。
また同時に、自分の環境を不幸とも異常とも思わず、もっと厳しい人はいると当然のように思っていた。
だからか、住田の話す内容は悉く同意できたし、自分自身は彼ほど過酷な状況ではなかったとはいえ、彼のいう『普通』という物もよく理解できた。
『普通』というのは、親のように無責任で人に不幸を与える人間ではなく、自分自身を良識に従って正しく生きる人。という意味であったと思う。
そこに、茶沢さんの思想が混ざると、目立たなくてもひっそりと生きていくという意味も加えられるが、いずれにせよ、不幸だからといって周りに不幸をもたらさない人間ではないかと思う。

ところが、父親を殺してしまい『普通』である事を望めなくなった住田は、街を徘徊し、悪い人間を殺して自分も死ぬことで、正しい人間であろうとする。
『普通』ではない『異常』になったのだから、せめて『異常』者を道連れに。と、いう心理だろうか?
しかしながら、住田が思っている以上に、街には『異常』者が溢れかえっている。
変人を蔑み恐喝する者、殺されるのを喜ぶような者、ファミレスに屯して害をまき散らす者、包丁で歌い手に切り掛かりながらその本位は悪意ではなく混乱している者。
住田にとって、自分の親以外の大人は『普通』である事が当たり前だったのに、寧ろ『普通』である事が意味を為さない世界に絶望と混乱を覚え、ボートハウスに帰宅する。

戻った住田は自殺することで無意味な生を終わらせるつもりだったのだと思う。
しかし、意固地に他人からの関与を拒み衝動的で自暴自棄でいた住田だったが、八方塞がりになってやっと、観念したように茶沢さんの話を受け入れていく。
彼女もまた自分の環境から学んできた生き方があり、絶望を乗り越える術を既に身に付けていたのではないかと思う。
罪を償う事。償った後に二人で暮らす事。
絶望に対してシンプルに希望を上塗りしていく感覚。
そして閉ざされていた未来が少しだけ開けていく感覚。
傍目に観れば残酷でしかない環境の中で、自分自身を真っ当に『普通』でありたいと堕落せずに踏ん張ってきた二人だからこそ、絶望した時の深さは判り合えるし、そこから這い出す為の希望が何なのか?を共有できる感じが素晴らしく、聞きほれるような二人の親密な会話だった。

ラスト、「頑張れ! 住田頑張れ!」という言葉に、住田と同様に、過酷な環境で住田を待ち続ける茶沢さんの過酷な未来も重なる。
それでも、お互いに犠牲を伴う未来を乗り越え、更にその先に『普通』の幸せがある事を信じて、シンプルな言葉に託したんだと思う。

若い役者二人の思いっきり感情を曝け出して演じ切っている感がひたすら素晴らしかった。
若い時分に演技を仕込まれた二人が、その後、大成しているのは納得する。
光石研はダメな人間にも拘らず、かっこよく見える程に狂気がほとばしっていた。
全体を通して、暴力シーンがやたらリアルで、この辺りもこの監督の特徴なんだろう。

思想的な部分で宮台真司氏の原発への語りが執拗に流れていたが、こういうのは要らない。
もう数本、園作品を観て、この辺りの思想部分が厭らしく感じるようなら観るのを止める。
映画に思想を持ち込むことに関しては反対ではないが、一方的な視点からの意見が強いと、その意見に賛同するかは関係なくげんなりする。

最後に、この映画が3.11の震災後に脚本と設定を変更して作ったという部分。
復興へのエールを込めてラストを泥臭く作ったのかもしれないし、映画自体にもドン底からの希望を含めたのかもしれない。
ただ、公開当時にこの映画を観るのではなく、10年後に始めて観た人間としては、ラストは少し浮いてるように感じたし、無理に泥臭さを押し込んだ感が違和感として残った。
少し、調べた限り、原作のラストはピストルで自殺する住田で終わるらしい。
死に場所を求めて、殺す相手を求めて徘徊する住田にとって、ピストルはその具現みたいな存在なんだろうと思いながら観ていた。
ピストルを使って人を殺すことも出来れば、自殺することもできる。
けれどもう一つ、ピストルを自ら捨てる事で、この狂気に終わりを告げることもできる。
映画では3番目の選択肢を選んだが、公開当時の社会や、それ以上に園監督の思いを汲み、このラストを受け入れようと思う。

4.評価

個人的な好き度合い: (1/3)
※ ★☆☆~★★★が凄く面白いで、普通に面白い以下は全て☆☆☆です。

面白かったです。

耳障りの良い「がんばれ」という言葉と、藻掻く人間が求める「普通」の願いとの落差に違和感を感じつつ、絶望の底から未来へ向けて困難を受け入れる男女の姿が希望を感じさせる作品でした。

世間の評価は以下のような感じです。

Filmarks3.6
映画.com3.7
amazon3.8

面白いという方の意見:

・園監督らしく人間の醜さがしっかりと描かれている。
・ラストシーンに感動した。
・震災後にこの映画を作り、このラストを描いたことが素晴らしい。
・暴力的な描写に苦痛を感じたが、徐々に映画の感情、説得力に引き込まれた。
・主役二人や脇を固める役者陣の演技力が素晴らしい。
・渡辺哲の熱演がすばらしい。

面白くないという方の意見:

・ここまで不幸を映像にして何が面白いのか理解に苦しむ。
・監督の主義・思想のごり押しを煩わしく感じる。
・茶沢さん(二階堂ふみ)がウザ過ぎる。
・暴力描写が観ていられない。
・原作との変更点が好きではない。
・原作の良さには及ばない。

世間の評価を見ての印象:

園子温監督=素晴らしい。みたいな露骨な意見も結構多いので、教祖的な人気のある監督なんですね。
僕にとっては初めての園作品でしたし、あまり前評判も知らなかったので、プラスもマイナスもなくまっすぐに映画を観れたように思います。
原作を知らないという事もそうですね。映画として向き合うことが出来て逆に良かったように思います。

園作品に関しての個人的な感想としては、映画作りへの厳しさや拘りはかなり伝わる監督ですね。
あと、暴力や不幸へのリアリティは予想以上の物を作ろうとする執念というか。
キャラ作りも悪くいえば極端な人間性だけれど、キャラが浮き立つというか、感情一直線みたいなテンポの良いキャラが多かったように思います。
この辺りは他の作品も観て、徐々に印象を固めていきたいと思います。

世間の感想ですが、演技に関しては主役二人は概ね絶賛でした。
暴力シーンが多いので、そこを嫌がる方も多かったです。
後は原作ですね。
原作ファンからの批判が非常に多いです。
それだけ原作も魅力的な作品という事でしょう。

後は原作から変えたラストシーン。
ラストに園監督らしくない優しさを感じたという意見も多いので、余り前向きなラストは描かない監督なんですかね。甘い展開も嫌いな。
原作と違うと拒否する人と、泣くほど感動した人と、白けた人と。
大体、その3パターンのようでした。

amazon prime videoで観る。

5.お勧めしたい人

こんな方にはお勧めの映画かも知れません。

・殺したいほど憎らしい人がいる人。
・社会問題に切り込んだ映画を観たい人。
・人の狂気が感じられる映画を観たい人。
・生まれ育った環境への不幸を感じたい人。
・役者の演技力を感じたい人。
・青春の息苦しさが感じられる映画が好きな人。
・ラストシーンが泣ける映画。
・ダメ人間が好きな人。
・胸糞キャラを観るのが好きな方。
・裏社会物が好きな人。
・犯罪を扱った映画が好きな人。

amazonでBlu-ray・DVD・原作を購入する。

6.感想(長い)

園子温作品が初めてな上、原作漫画を読んでいない映画だったので、結構迷いながら観ていました。
悲惨なシーンが多い映画だな。と思いながら観て、徐々に自分の過去と重なり始め、「これは自分の話か?」とのめり込んで行った前半。
そうこうしている内に悲惨さは更に増していき、色んな感情や妄想も一緒くたになって、「いやいや、こんなの自分じゃない!」と、我に返りつつも、そのまま引き込まれてラストを迎えました。
悲惨、残酷、理不尽、狂気、暴力、マイナスの感情は蠢く映画だと思います。

なんというか、住田が自分の環境を異常として受け入れない姿。というのが、前半部分で自分が入れ込んだ所でして。
僕自身の話になりますが、子供の頃から両親が不仲で家庭内別居の環境で育ったこともあって、家庭内で喧嘩が絶えないっていうのは日常だったんですね。
暴力や借金という物はなかったものの、夫婦が憎み合っている中で育てられる子供ってどうなんでしょうね?
それでも自分はそういった環境しか知らなかったですし、それが当たり前だと思いながら育ってました。
他の家の様子を見て友達の父母が仲良かったり、ドラマで夫婦の絆みたいな物が描かれても、寧ろそっちの方が特殊で親って仲が悪いのが当たり前だと思っていましたし。
そうこうしている内に中学になって、みんな一斉に反抗期が始まると友達も親への不満ばっかりで、なおの事、親って不満のはけ口みたいな存在になって。
けれど高校を出るくらいになると、流石にみんな反抗期も終わって親に感謝し始めるんですよね。
「お母さんありがとう。」なんてラップみたいなこと言い始めて。
けれど、こっちは親なんて昔からありがとうの対象でもないですし、ず~っと反抗期みたいな物。
周りが親に感謝し始めるのが不思議で、もしかして自分って当たり前じゃなかったの?と、思い始めたのもやっとこの頃でしたね。
ただ、そう気付いてみた所で自分が不幸とも思っていなくて、世の中もっと酷い人はいるし、自分なんて大したことないよ。と。

今でも自分が不幸な育ちとは一切思っていないですし、親も離婚して父親も亡くなって、二十歳過ぎてからは母親とも仲良くしてるんですけどね。
反抗期は少し激しかったような気はしますが、生まれや環境に毒づくことはなくて、寧ろ、親はこうだけれど自分は自分だし。と。
どちらかと言うと荒れている自分に親が関わってくる事が嫌だっただけで、親のせいで自分がこうなったみたいな気持ちは多分、本能的に全拒否していましたね。
だって、自分は自分が正しいと思うように生きようとしているし、それを親がこんなだからという理由で無理だとか、変だとか、頑張れだとか言われたら、頭に来るじゃないですか?
いや、こんなの別に『普通』だし、頑張れとか言われなくても自分でちゃんとするし、そもそも自分より酷い人間なんてもっといるでしょ?と。
自分は親とは違う真っ当な人間として生きていくんだから、横から余計なこと言うな!というのが、思春期の僕の本音。

そうするとやっぱり、住田の言う事っていうのはいちいち頷いてしまうんですよね。
確かに、親に死ねと言われたり、母親が家に男を連れ込んで逃げたり、茶沢さんに関しては両親が自分を殺す首つり台を作ったり、そういうのは酷いことだとは思いますが。
ただ、そんな不幸の塊みたいな状態でも、僕がもっと酷い人はいると思っていたように、彼らもそう思うことで自分はまだまし。と思ってひねくれずにいられる気持ちも良く判る。
人がひねくれるっていうのは不幸の度合いで決まる物ではなくて、自分が自分をまだましと思えている内はあんまり堕落しない物なんでしょうね。
偏った人格にはなると思いますが。

そんな感じで住田をかつての自分と合わせながら観ていた前半部分は、まさしくこの映画は「自分を描いた映画」で、暴力的な不幸に直面しながらも、住田は大丈夫と観ていたんですが、父親を殺してからは流石に入れ込めなかったですね。
僕ににとってのかつての『普通』は最後まで壊れなかったので。
住田にとって『普通』に生きるという事は、親みたいな人間ではなく当たり前の良識でちゃんと生きていく。ということで、一部、茶沢さんよりの目立たなくてもひっそりと生きていくという意味もあるんでしょうけれど、不幸だからといって周りに不幸をもたらさない人間が住田の言う『普通』なんだろうと思っていました。
だから彼がホームレスの人々に対して偏見なく接することが出来るのも、親みたいな人間ではないから、世間では落ちこぼれでも、彼にとっては普通の人なんですよね。
ところが、住田にとって、どんな親に育てられても自分は『普通』である事が支えであったのに、父親を殺してしまい、『普通』である道を閉ざされてしまった。

そうした住田が考えるのは、自分は『普通』として生きられないのであれば、もっと悪い奴を見付けて、そいつを殺して正しい人間として自分は死のう。という武士の切腹の様な心構え。
けれど、ここから出てくる普通ではない人々が本当にロクでもないし、強烈でおまけに不愉快。
殺されるのを喜ぶような奴もいれば、ファミレスに屯して害をまき散らす奴もいるし、包丁で歌い手に切り掛かりながらその本位は悪意ではなく混乱している人間だったり。
悪い人間を殺そうと思っていても、そもそも世の中クソみたいな人間ばかりだということに気付き、今まで自分が『普通』であろうとする事を必死になって守ってきた意味って何だったんだ?という絶望。
おまけに人を殺す人間だって、人間として既に壊れてしまっていて、そいつらを殺すことに何の意味があるんだろう?という混乱。
本当に誰を殺せばいいの?と思いながら徘徊を続け、混乱したまま帰宅する。

飾り付けられたボート屋で久しぶりの笑顔を見せる住田。
徘徊はしたものの殺す価値のある人間を見付けられず、結果、自殺して全て終わらせるつもりだったんでしょうね。
そして、それを全て見透かして自首を進める茶沢さん。
彼女の住田への問いかけや説得は、意固地になった住田の心を溶かしていくように、僕にとっても心に沁みて聞き込んでしまう物でした。
なんだろう?衝動的で自暴自棄でいた住田が八方塞がりになって、やっと観念したように茶沢さんの話を受け入れていく感じ。
意固地になった人間がどこまでどん底に落とせば心を開けるのか?という、この間の作り方や、長かった徘徊シーンの執拗さが生み出す説得力も素晴らしいです。

そして、未来が途絶えたと思っていた住田にとって、罪を償って人生をやり直し、結婚して一緒に暮らそう。という、これはなんでしょうね。こういう絶望に対してシンプルに希望を上塗りしていく感覚。
そして閉ざされていた未来が少しだけ開けていく感覚。
傍目に観れば残酷でしかない環境の中で、自分自身を真っ当に『普通』でありたいと堕落せずに踏ん張ってきた二人だからこそ、絶望した時の深さは判り合えるし、そこから這い出す為の希望が何なのか?を共有できる感じ。
そして、罪を償う住田の苦労と同時に、住田をあの環境で待ち続ける茶沢さんのこの先の苦労。
それを思うと、きついのは先の見えない茶沢さんの方でもあるんですよね。
それでもお互いに犠牲を伴う未来が待ち受けているとは言え、その先の幸せがあるからきっとやっていけるはず。
だから「頑張れ! 住田頑張れ!」という言葉が、先の先にある幸せの為に、お互い頑張ってこの先の苦労を乗り越えようというシンプルな言葉になるんでしょうね。
へんなラスト。とは心で思いながらも、彼らの置かれた状況と、これから自首して人生をやり直すと考えた時に、こうした言葉は逆に違和感がない。と思いながらも、やっぱり無理して泥臭く作り過ぎかな。とも思いつつ。

そういえば、ヤクザの金子にもらったピストル。
この唐突な展開も結構ハマりました。
死に場所を求めて、殺す相手を求めて徘徊する住田にとって、ピストルはその具現みたいな存在なんだろうと思いながら。
ピストルを使って人を殺すことも出来れば、自殺することもできる。
けれどもう一つ、ピストルを殺すことに使わずに全て使い果たすことで、この狂気に自ら終わりを告げることもできる。
金子の本心がどうなのか?はともかく、結果的にピストルは自身の狂気との決別として使われたわけで。
金子がどういう意図でピストルを渡したか?は判らずじまいですが。
ただ、金子から見て、住田は自殺することはあっても人を殺すことはないと思えたのかな?とも思いながら。
グッと入れ込んだシーンだけに、ピストルを撃ち切ってエンディングの方が個人的には嬉しかったかな。

改めて映画に関して、若い役者二人の浮ついていない演技が素晴らしいですね。
かっこよさや可愛さなんて後回しで、思いっきり感情を曝け出して演じ切っている感が凄いです。
二階堂ふみはテレビでも見ていますし、染谷将太という子は凄いいっぱい映画出て人気の子なんですね。
そら、若い内にこれだけ演技を仕込まれたら大成するよな。と、納得しました。
脇を固める人は意外に演技らしい演技なんですね。
でんでん演じる金子なんてダイコンじゃないか?っていう、それが魅力なんでしょうけれど。
久しぶりに役者で観たムラジュンがえらいかっこよかったですね。
そういえば光石研はほんとダメな人間なのに、かっこよく見えてしまう程、狂気がほとばしってましたね。
暴力シーンがやたらリアルで、この辺りもこの監督の特徴なんでしょうね。
もう一人、窪塚の家にいた女性がやたら美人だと思っていたら吉高由里子だったんですね。そら、オーラが違いますよね。

あとは、思想的な部分で宮台真司氏の原発への語りが執拗に流れてましたが、こういうのは要らないかな。
もう少し園作品を観て、この辺りの思想部分が厭らしく感じるようなら観るのを止めるか判断しようと思います。
映画に思想を持ち込むことに関しては反対ではないし、それを止めるのは無理なことだと思っているのだけれど、公平な目線ではなく、一方的な視点からの意見が強いと感じると、その意見に賛同するかは関係なくげんなりしますね。

最後に、この映画は3.11の震災後に脚本を替えて作ったという部分。
舞台も津波の影響の残る東北の街で、ホームレスを始め、被災者も多く出てきます。
震災へのエールを込めてラストを泥臭く作ったのかもしれませんし、映画自体にもドン底からの希望を含めたのかもしれません。
ただ、公開当時にこの映画を観るのではなく、10年後に始めて観た人間として、ラストは少し浮いてるように感じましたし、そこは違和感として残りました。

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