1.映画情報
作品名:孤狼の血 LEVEL2
ジャンル:ヤクザ 犯罪 バイオレンス
鑑賞履歴:2021/9/13(映画館)
公式サイト:東映公式
wikipedia:wiki
監督:白石和彌
制作年:2021年
制作国:日本
上映時間:139分
配給:東映
メインキャスト:松坂桃李 鈴木亮平 村上虹郎 西野七瀬 中村梅雀 中村獅童 吉田鋼太郎 寺島進 かたせ梨乃 斎藤工 早乙女太一 滝藤賢一
スタッフ:
原作:『孤狼の血』柚月裕子
受賞歴:第42回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞 最優秀助演男優賞 最優秀美術賞 最優秀録音賞
予告動画:
2.あらすじ
前作の3年後、平成2年の広島を舞台にしたヤクザ抗争とそこに関わる刑事達の物語。
前作で新人だった日岡は、ヤクザに取り入りながらその暴発を防いでいた亡き大上の役割を継ぐ。
街は平穏を保っていたが、出所した上林がその均衡を破るように暴力でのし上がり始め。。。
3.評価(個人)
個人的な好き度合い:☆ ☆ ☆ (0/3)
※ ★☆☆~★★★が凄く面白いで、普通に面白い以下は全て☆☆☆です。
個人的にちょっと厳しかった。
前作の暴力とグロさの中にある人間ドラマの続編を期待して観ました。
ただ、暴力とグロさはレベルアップした一方で筋書きは無理矢理感を感じて、ちょっと厳しかったです。
何でもあり。のバイオレンス映画が好きな方にはお薦めです。
4.感想
※※※ 以下、ネタバレありです! ※※※
前作の暴力性とグロさに映画館での視聴を迷いながらも、折角の機会を逃すのも勿体なくて、結局観てきました。
結論から言えば、ちょっと残念。
前作の狂気が好きな人にはいいかもしれませんが、その中で意外なほど感じられた人間ドラマを求めて続編を観る人には、今回は別物として観た方が良いように思います。
グロさは前作を超えるんじゃないか?と思う程ですが、なんとか耐えられるレベル。
執拗なまでの目のくり抜きと、そこから糸状の神経が飛び出しているグロさもギリギリのギリギリで凌ぎました。
ただ、どんどんエスカレートしていく過剰なエンタメ性に??となりながら、終盤にかけて、一向に死なないプロレス的な受けの美学の格闘や、唐突のカーチェイスなんて見せられると、一体、前作の中で現実を逸脱せずにエンタメと人間ドラマが描かれていたバランスはなんだったんだ?と、少し混乱したほど。
いや、今回がエンターテイメントとして突き抜けたものを作りました。という趣旨であれば別に構わないですし、そういう物として楽しんで観たんですけれど、どうも話の途中から筋がどんどんおかしくなっていったような。
『孤狼の血』の続編を見ていたつもりが、途中から『キルビル』になって、だったら最初から『キルビル』として作ってよ!と、感じてしまったのが、物凄く違和感として感じてしまったような。
前作をちょっと復習すると、
ヤクザの抗争の間を泥臭く大上が立ち回り、
そこで描かれる正義や人道的な人間ドラマも悲哀感がたっぷりで、
その中で圧倒的なグロさや凶暴さが映画の緊張感とインパクトをかなり上げたと思っていて、
おまけに役所広司の演技も凄みを感じる程だったし、
松坂桃李も吹っ切れ感が良かったと。
脚本がしっかりしている中で、グロ、狂気、演技力が、エンターテイメントを認識させながらも現実味を感じさせる映画として捉えていました。
ただ、今回はグロは引き続きというかパワーアップというか、狂気も演技力も鈴木亮平は突き抜けた存在ですし、松坂桃李の役どころも演技も好きでした。
なのに、こう、前作は破綻しそうな話を役所広司のタンカと悲哀で持ち直していた部分が、今作は無理矢理感しか感じなかったんですよね。
前半は良かったんですよ。
前作同様にオープニングでとんでもないぶちかましみたいな暴力を放り込んでくるのかと思って、怯えながら観ていたものの、思いの外、日岡の現在と上林の出所を追うという、3年間の変化と今回の狂気の震源をスラスラっと描く静かでしっかりとした開始だな。と安心していたら、目!
一回安心させておいてからのぶちかましにあっさりタマヒュンでした。
ただ、上林の人の殺しっぷりに、今回はこれでいいのか?と思いながら。
前作は確かに人も死にますが、せいぜい4人くらいなんですよね。
おまけにそれぞれが強烈な死に様が描かれ、殺人犯が逮捕される時の生き様的なかっこよさもあるし。
けど、今回は殺しまくって事件にもならなければ捕まりもしないし。
上林という後先考えない殺人鬼の暴走という事であればいいんですけれど、それにしてもなんだかな。と思いながら。
この辺り、警察との癒着や思惑、利害関係もあって、あえて上林は流されていた的な体でも話は進むんですが、何度も自分に「映画だから、フィクションだから、ファンタジーだから。」と心の中で納得させながら。
人が死ぬ以外でも、尾谷組の若い衆に拳銃を突きつけてその暴発を黙らせてしまうシーンが、そらちょっとヤクザが腰が引けすぎでしょ?と思ったり。
スパイのチンタが日岡を殺しに来るのも、クスリを打たれたり、上林の狂気に晒されたり、日岡への不信感が募ったりと、筋は書かれているけど唐突過ぎるよな。と。
日岡が追い詰められて瀬島に過去を話すのも、いやいや、このおじさんが戦力になるわけないのに、これも唐突でしょ?と。
日岡が隔離された警察署から逃げ出すのも、なんか雑に話を展開させてるよな。と。
そもそも日岡は銃を出し過ぎ、撃ちすぎ。しかも馬鹿みたいに当たらないし。
大上はあんまりそんなイメージはなんですよね。
と言うよりもそもそも銃を出していたイメージもあまりないんですよね。
この辺りが今作の日岡のスタンスというか、大上の意志は継いだものの、まだまだ甘い所と言えばそうなんでしょうけれど、なんだかな。。。
そんな感じで筋書きに無理矢理感と、極端に追加されたアクションシーンに冷ややかさを感じてしまって。
松阪桃李の演技も十分とは思いながらも、もしこれを役所広司が演じていたら殺気立った説得力で無理矢理なシーンも押し込めるの?と意地悪なことも考えはしますが、ただ、役者如何ではなく、やっぱり筋書きが面白いとは思えなかったです。
5.評価
世間の評価は以下のような感じです。
面白いという方の意見:
・迫力と緊迫感は凄い。
・キャラクターの濃さとアクションは前作を凌ぐ出来栄え。
・鈴木亮平演じる上林の凄み。内面まで掘り下げられたキャラ設定も素晴らしい。
・刑事、暴力団組織、マスコミ、そして女たちの壮絶なバトルロワイヤル。
面白くないという方の意見:
・前作を凌ぐような凄みはある一方で任侠らしさは失われた。
・目玉をくり抜く嗜虐趣味はホラー映画ではないのだから。。。
・殴り合いや銃撃戦、カーチェイスに見応えがない。
・映画全体の派手さは増している一方で面白さは後退。
世間の評価を見ての印象:
面白かったという意見が大半で、前作のドラマ性が薄れてつまらなくなったというのは少数意見ですね。
ドラマ性は落ちたけれども、それを補って余りあるアクションの面白さという意見も多く、やっぱり世の中、こういったバイオレンス絡みのアクションは受けるんですね。
子供の頃に観ていたハリウッドアクション、ランボーやロボコップを観ているような気分で観ていましたが、大人になってそういった物を全く観なくなっただけに、話の筋を求めすぎてしまうんだろうか?とも思いながら。
amazon prime videoで観る。
※劇場公開から間もない為、なし。
5.お勧めしたい人
こんな方にはお勧めの映画かも知れません。
・殺したいほど憎らしい人がいる人。
・人の狂気が感じられる映画を観たい人。
・緊迫感のある怖さを描いた映画が好きな人。
・常識や道徳観が崩れていく映画が好きな人。
・生まれ育った環境への不幸を感じたい人。
・役者の演技力を感じたい人。
・緊迫感のあるアクションを感じられる映画。
・胸糞キャラを観るのが好きな方。
・裏社会物が好きな人。
・ドラッグを扱った映画が好きな人。
・犯罪を扱った映画が好きな人。
・銃撃戦が楽しめる映画。
・ヤクザを扱った映画。
amazonでBlu-ray・DVD・原作を購入する。
※劇場公開から間もない為、なし。
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