映画感想『抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-』

巨匠を観る』企画、8作目(全27作)の映画です。

1.映画情報

作品名:抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(UN CONDAMNE A MORT S’EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT)
ジャンル:ドラマ
鑑賞履歴:2021/8/14(U-Next)
公式サイト:
wikipedia:
監督:ロベール・ブレッソン
制作年:1956年
制作国:フランス
上映時間:97分
配給:クレストインターナショナル
メインキャスト:フランソワ・ルテリエ
スタッフ:脚本(ロベール・ブレッソン)
原作:アンドレ・ドゥビニ
受賞歴:第10回カンヌ国際映画祭 最優秀監督賞
予告動画:

UN CONDAMNÉ A MORT S'EST ÉCHAPPÉ de Robert BRESSON – Official trailer – 1956

2.あらすじ

大戦中、ナチスに捕らえられ独房に入れられたフランス軍中尉の男。
脱獄を考え、僅かな情報を頼りに有り合わせの材料でロープ等を作り始める。
やがて男に死刑の宣告が下り。。。

脱獄に成功した実在の人物の手記を元に作られたノンフィクション映画。

3.感想

※※※ 以下、ネタバレありです! ※※※

面白い!とんでもなく怖くて、頭がどうかなりそうなくらいに面白い!!
久しぶりに心臓をバクバクさせながら、息をのんで映像に釘付けになって観た映画でした。
常日頃、ホラー映画をあまり観ないせいか、映画から恐怖を感じるという事があまりないのですが、この映画は戦争下で命を懸けて脱獄をするという、人間が作り出せる極限の世界の中での恐怖。
いや、本当に怖くて面白いです。

脱獄映画と言えば、『大脱走』、『大いなる幻影』、『ショーシャンクの空に』等が思い浮かびますが、この映画はどの映画とも雰囲気が違って、全く大作映画という感じがしないのも独特です。
脱獄という痛快感のあるテーマを選びながら、エンターテインメントではなくとにかくリアルに心理ドラマ。
というのもナチスに捕まった一人のフランス人将校が脱獄を考え、ひたすら一人で何カ月もの間、寝る間も惜しんで試行錯誤しながら脱獄を練っていく姿を独白し続ける手記のような映画です。
おまけにそれをモノローグで心の声を常に伝えてくるもんだから、彼の苦悩から恐怖から焦りまでありありと受け取って、大げさな言い方ではありますが、自分が独房の中に居るかの様な息詰まった心理状態で観続けてしまいます。
他の監獄囚とも短い会話はあるものの、常にナチスの監視の元なので協力と言える程の大きな力は得られず、更には先に脱獄を試みた囚人が銃殺されるまでも描かれる、極限状態での一人脱獄。
そして、いつ処刑宣告されて命を奪われるか?という焦燥感で精神のすり減る様な日常のヒリヒリ感がピークに達した所で、ついに始まる脱獄シーン。
ここからが本当に凄いです。

絶対にネタバレなしで観た方が面白いので、ここから下は、再度、未見の方はネタバレ注意で!
是非、何も知らずに観てみて下さい。
めちゃくちゃ面白いですから!

とにかく脱獄が始まってからの焦りと不安と恐怖。
一つの間違いで失敗し命を奪われる中で、主人公のフォンテーヌが足がすくみ、心臓から全身が震え上がる様な緊張感と、とめどなく押し寄せてくる恐怖の感情。
歩哨を殺して脱獄を成し遂げようとするアドレナリンが放出しまくりの狂気の演出。
進むも死、戻るも死。
そして、計画が狂う度に訪れる発狂しそうな恐怖の中で進んでいく破滅へのカウントダウンの様な歩み。
完全にシンクロして観ていました。
ひたすら、とんでもない。としか言えないです。

ロベール・ブレッソンの映画は始めて観ましたが、緊張感がとにかく凄かったです。
他の映画がどうなのか?は知りませんが、演出も小さく、伴奏曲もほとんどなく、あるのはひたすら主人公の心の声。
おまけに極限下。
ヒリヒリ、ピリピリ、ビリビリと、受け手の恐怖心を煽る様なリアル感が凄いですね。
動画配信でこの映画しか観れなかったので観ましたが、他の映画も観たくてしょうがなくなる監督さんでした。

4.評価

個人的な好き度合い:★★ (3/3)
※ ★☆☆~★★★が凄く面白いで、普通に面白い以下は全て☆☆☆です。

脱獄シーンは心臓をバクバクさせながら物凄い緊張感で観ました。
とんでもなく面白い映画でした。

脱獄という痛快感のあるテーマをエンターテイメントではなく、心理ドラマのようにひたすらリアルに描いた作品です。
追い詰められる怖さが好きな方にもお勧めです。

世間の評価は以下のような感じです。

Filmarks4.1
映画.com4.0
amazon4.6

面白いという方の意見:

・息詰まる緊張感を途切らせることなく、持続させる素晴らしさ
・ハリウッド映画とは一線を画す、静かなるリアリズムの勝利
・すべて素人の役者を使用してのこの緊迫感のある演出が素晴らしい。
・アンリ・ドヴィニ大佐の手記をもとに、映画化されたもの。事実であることの説得力。
・ブレッソンらしい、手や目線、音の演出が冴えている。

面白くないという方の意見:

・ストーリーとしては凡庸。

世間の評価を見ての印象:

悪い意見をほとんど見付けられず。
わざわざこの映画を探して観るという時点で、好きそうな人が集まっているからですかね。

でも、いろんな意見に納得しつつ、ブレッソンという監督の特徴として、演出を削ぎ落す事でのリアリズムへの追及と言った部分も知ることが出来て楽しかったです。

amazon prime videoで観る。

※視聴不可です。
 U-Nextであれば観れます。

5.お勧めしたい人

こんな方にはお勧めの映画かも知れません。

・メンタルの強い男性が好きな人。
・戦争映画や戦時中の話が好きな人。
・緊迫感のある怖さを描いた映画が好きな人。
・映像美を感じられる映画。
・観やすくスラスラと楽しめる映画。
・主人公の心情をモノローグ形式で伝える映画が好きな人。

amazonでBlu-ray・DVD・原作を購入する。

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